イギリスの医療費は全額、税で賄われ、患者の自己負担はありません。ただ、医療費増は先進国共通の課題です。イギリスでは専門機関「NICE(ナイス)」が新薬の費用対効果を算出。政府に費用対効果に優れた薬を「推奨」し、政府はそれを公費医療に採用します。
イギリスの医療サービスは当初、「すべての治療を無料で」が方針でした。それが「すべての有効な治療を無料で」になり、「すべての効率的な治療を無料で」に変わってきています。
財源に限りがあるからです。費用だけでなく、病院や医療提供者の数も限られている。だから、何を優先すべきかを考える。税金を使う以上、明確なルールが必要ですから、経済評価のガイドラインを作って、費用対効果を算出しています。
費用対効果の算出に使用されるのは、QALY(クオリイ)という単位です。「1QALY」は、人が完全な健康体で1年を暮らすことに相当する価値を表します。新しい治療法を使うことで、1QALY増加するために必要なコストが2万~3万ポンド以下なら、薬や検査を公的医療にすることが推奨されます。貨幣価値を考慮すると、350万~520万円程度です。豪州もカナダも、日本にならって皆保険を導入した韓国も費用対効果の算出にQALYを使います。
イギリスはかつて、手術を受けるのに長い待機者リストがあったり、年度末になると手術ができない時代もあったので、お金をつけるところを考え、優先度の高いものからやっていくということが比較的、受け入れられやすいのかもしれません。(談 福田敬・東京大学准教授)
※MSN産経ニュース 2010.6.11 08:03
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